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夜の終わりに立つ

まだ夜の気配が残るころ、
うさブタは、こっそり山の上に立っていたよ。
足もとには諏訪湖。
…のはずだったのに。
気づいたら、湖は見えなくなっていて、

かわりに、もくもくと白いものが広がっていた。
雲が湖をのみこんだ

雲。
山に囲まれた湖のあたりで、
雲が行き場をなくしたみたいに集まって、
ゆっくり、ゆっくり、
海みたいになっていくの。
うさブタ、手袋の中でぎゅっと指をにぎった。

寒い。ちゃんと寒い朝。
でも、目が離せなかった。
雲の上の富士山

雲の海のむこう。
東の空のほうに、
すっと立っていたのが富士山。 浮いてる。
ほんとうに、
雲の上にちょこんと立っているみたいで、
「え?」って小さく声がもれた。
朝が生まれる色

やがて空が、
深い青から、やわらかな橙へとほどけていく。
その光が、
諏訪湖越しの富士山を、
ゆっくり、ゆっくり、赤く染めていくの。
理由なんてわからないけれど、 胸の奥が、きゅっとした。
きれい、っていうより、
ちゃんと生まれてる、って感じ。
朝が、いま、この瞬間に。
たった一時間の魔法

さらに時が進むと、
雲海のすき間から、
群青色の諏訪湖が顔を出す。
まだ眠たそうな街の灯りが、
きらきら、きらきら。
雲と山と湖と光が、
順番に主役を交代していくみたいな時間。
それは、だいたい一時間。
日の出の30分前から、
日の出のあと30分くらいまで。
自然のショータイムは、
ちゃんと短い。
だからこそ、

帰り道、うさブタは思ったよ。
あの一時間を、
寒さごと、ポケットに入れて持ち帰れたらいいのに、って。
小さな旅メモ

・おすすめは日の出の30分前から30分後
・雲海が出る朝はかなり冷える
・防寒対策はしっかりと
その冷たさも、 きっと、忘れられない景色の一部になるよ。

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